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僕がカーディーラーに就職するまで
僕は小さいころから『〇〇になりたい!』なんてものはなかった。
まあほとんどの人がそうだと思うんだけど。
小学校の頃は割と勉強は好きな方で、自分で言うのもなんだが成績も別に悪くない。
しかし中学生になり、1年生の終わりくらいから不良グループの奴らとつるむようになってからは嫌いな訳ではない勉強もしなくなった。
当然成績はガクっと下がり、『1』と『2』のオンパレード。
1年生の最初の方は『5』だってあったというのに。
当然、先生には『行ける高校はない』と言われた。
それでも『なんとか高校ぐらいは』という気持ちは一応あったので、受験間近の3ヶ月だけ塾に通い、一応親は併願でしょーもない私立も受けさせてくれたけど公立の高校に入学できた。
そんで入学したらまた安心しきってダラダラと目標もなく遊び呆けた。
バイトと遊びに明け暮れて勉強なんて全くせず、友達と好きなバイクを弄り回しては走り、弄り回しては走るの繰り返し。
でも母親が毎朝ブチ切れながら部屋に転がっていたバイクのマフラーを背中にぶん投げて叩き起こしてくれたおかげでギリギリ卒業までの単位は取れた。
あれは結構痛かった。
そしてやっと卒業!と思ったが肝心の進路が決まっていない。
僕は進路も決まっていないまま、高校を卒業した。
高校を卒業しても決まらない進路。どうする?
しかし高校の卒業式は早く、3月の初旬の方で4月までまだ進路を決めるには少しだけ時間はあった。
そしてその時しきりにテレビで流れていた某専門学校のCMを見て『これだ!』と思いすぐさま親にお願いしてお金を出してもらい、晴れて4月から専門学生となった。
さすがは専門学校、公立とは違い商売なのでこんなギリギリでもお金を出せば入れてくれた。学費を出してくれた親に感謝。
でも専門学校の勉強は今までの国語数学理科社会とは違い、それなりに興味があることなので面白かった。
しかし専門学校は2年と短く、1年も過ぎれば早速進路を決めなければいけない。
人生で初めての就活に取り掛かろうと思い、まずぼんやりとなりたい職業を考えてみた。
高校生の頃からバイクが大好きだからバイク屋さんはどうだろうとも思ったが、バイクは趣味嗜好品だなーとも思って不安定そうな気がしたからやめた。
バイクが好きと同時に車も好きだったので車屋はどうだろうか。
どうせなら新車カーディーラーの営業マン!
思い返せば小さい頃から親が新車を買った時、新車の納車日は子供ながらにも嬉しい日で、親のテンションが高かったのを覚えている。
大好きな車を売って喜ばれる職業なんて最高じゃないか!
人生で初めて〇〇になりたい!と思えた瞬間だった。
やっとなりたいものが見つかった!!しかし・・
これはディーラー営業になるしかないと思い、すぐに学校のリクルートルームのパソコンで求人を探すと・・・ない。
どこにもカーディーラー営業の求人は出てこないのだ。
なんとカーディーラー営業は大卒以上が条件だったのだ。
当然専門卒では応募すらできない。
やっとなりたいものが見つかったのに即へし折られるなんて人生厳しすぎる。
しかし僕はこう思った。
『じゃあ大卒になればいんじゃね?』と。
でも今から大学行くなんて言ったらさすがに親はお金出してくれないんじゃないだろうか。
うーん、詰んだ。
この時の僕にとって奇跡の制度『大学編入』
その後いろいろ調べてみると、『大学編入』というものにたどり着いた。
大学編入とは、専門学校(専修学校)で1700時間以上を修了すれば大学編入試験を受けることができ、合格すれば大学に3年次から入学できるというもの。
つまり専門学校の2年間が大学の2年分として認められ、大学3年生からスタートできるということ。
僕は速攻就活をやめ、編入することを決めた。
親に相談したら親は編入を許してくれた。
僕は本当に恵まれている。
『奨学金で専門学校に通っている』とか聞こえてくるとますますそう思う。
編入学試験は2年生の卒業間近の時期で、受かれば晴れて4月から大学生、落ちれば進路も決まっていないまままた卒業する宙ぶらりんになるのだ。
2回目の宙ぶらりんは許されない。
しかし僕の教養は中学2年で止まっている。
今更勉強なんかできねえ!とギリギリまでまた遊び呆けた。
編入試験当日、イケる!と思いきや。。
全く勉強しないまま編入試験当日を迎えた。
ここまで来て勉強しないとか自分の人生なのにまるで他人事だよねほんと。
編入試験の内容は『今の日本についてどう思うか』みたいな答えのない論文形式だったのでしめた!と思った。
僕は小学生の時、国語の作文が一番好きだった。
今こうやって文章を書いてるのもそうだけど上手い下手は別として思ったまま吐き出す喜びというか。
なので編入試験はすらすらと書けた。
しかし試験問題はそれだけではなかった。
英語の試験があるのだ。
これはもう終わったと思った。
しかも内容が『将来何になりたいかを英語で書きなさい』ということ。
とりあえず書かないよりは書いたほうがいい。
わかるだけの英単語を詰め込んでなんとか書いてみた。
『I hope car salesman.because i like car』
マジだった。
マジでこう書いた。
僕は『私は車のセールスマンになりたい。なぜなら車が好きだから』
こう書いたつもりだった。
家に帰って母親と当時高2の妹に報告したら鬼のように大爆笑された。
ちなみにグーグルの翻訳に打ち込んでみると『私は車が好きsalesman.because私は車を願っています』となる。
車を願うとはこれいかに。
受かる気がしねえ。。
合格発表の日
当然諦めモードな中、一応合格発表を専用のサイトからログインして見てみた。
受験番号を打ち込んで・・
『次へ』をクリックすると・・
『合格』
へ?
マジけ?
嘘だろ??!!
あの英語力で合格は逆にやばいだろこの大学!!
なんかの間違いかと思うくらい不安になった。
何はともあれ僕はカーディーラー営業への道を何とか絶たれずに済んだ。
4月からはなんとあの僕が大学生。
自分でもむず痒かった。
世間ではいわゆるFランと呼ばれるレベルよりさらに低い大学だがそれでも僕は嬉しかった。
親も喜んでくれた。
専門といい大学といい学費を出してくれている親には本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。
だからその親のかすかな期待に応えるべく、これは必ずカーディーラー営業にならなければいけないと思った。