初めての一台は先輩のおかげであっという間に売れてしまった。
そしてそれからはエコカー補助金(2012年当時)の追い風もあってか超ハイペースで売れまくった。
と言っても僕は来る客来る客捕まえて先輩と一緒に同席するだけだけど。
ただ新人なので特に仕事もなく、人一倍来店客への接触は早かった。
いくら新人とはいえ初めて接触した営業のお客となるので商談は先輩がやっても僕の成績だ。
だから売れまくった。
僕の仕事は車を売るのではなく、来店客にとにかく誰よりも先に接触すること。
そんなこんなで実績だけは一月に10台以上を売り上げてしまうスーパー営業マンになってしまった。
これは新人の中でダントツの1位。
社内報が流れ、他の店舗にも僕の名前が轟き、僕は会社内で一躍有名人となった。
1ヶ月後、納車地獄を経験する
月にドッと車が売れるということはその後、ドッと納車があるということである。
全ての納期が1ヶ月後ではないが、7台くらいは同時期に集中した。
当然新車納車などもまだまともにやったことない中でいきなり同時に7台だった。
登録書類や下取り書類も全然訳がわからず何度もお客さんのところにハンコやサインをもらいに行った。
先輩の手助けも当然あったが本当に目が回る忙しさで新人のくせに帰るのは一番遅くなった。
そんな大量新車納車も気がつけば落ち着いてきた。
この時のおかげで新車納車業務と書類に関しては同期よりも圧倒的早くに覚えたけどさ。
初!車が売れない!
溜まっていた新車納車もある程度捌けてきた頃、前ほど売れなくなってきた。
と言っても自分で商談して売ってるわけでもないし、そもそもこれが本来の新人の姿だ。
しかし最初に売れていただけあって売れないのはなぜか嫌で新人のくせに焦る。
でも焦れば焦るほどドツボにはまってさらに売れずにイライラ。
初めて週末のイベントでみんな売れているのに僕だけ売れない日があった。
『来週は売るんだろうな』と少し店長から煽られた。
『はい!来週は売ります!』
偶然だが、その翌週は約束を果たすように売れた。
久しぶりに売れたし、だんだん自分でも話を進められるようになってきたから尚更嬉しい。
ますます自分からハードルを上げていっていることにこの時は有頂天になっているので気づかなかった。
一人で商談できるようになってきた
同期がやっと5台くらい売れた頃、僕はもう20台近く売っていた。
当然ダントツ1位だ。
先輩の隣で場数を踏んだだけあってだんだん自分で商談ができるようになってきた。
と言ってもまるでその先輩のコピーのように喋るんだけど。
でも自信満々に商談を進めると面白いように自分でコントロールできるようになってきた。
『これが本当の商談の楽しさか!』と自分の成長を実感すると共に、営業職が本当に楽しいと思える瞬間だった。