今回の投稿者さんの体験談はデザイナーを目指す為に出版社で営業経験を積まれた方。
世間で言われている『修行』についてのあり方も考えさせられました。
転職体験談
学生から新社会人での就職で、出版会社の営業職を務めました。
初めての会社で右も左もわからず、毎日本当に無我夢中でした。
私は芸術系の大学を卒業し、友人の多くがデザイナーになるためにプロダクションや、広告代理店へ就職しました。
私はどうしても出版会社で勤めたいと思っていたのです。
入社条件は、まず入社したら必ず営業職をしてもらうということでした。
私は藁にもすがる思いで了承し入社したのです。
3ヶ月が過ぎた頃から同期が次々にリタイアしていくのを見て不安にかられました。
また、大学の友人と休日に会うと、デザインの話で盛り上がっていて、私は入ることすらできず、ただ話を聞くことが精一杯でした。
そんな日が流れ、毎日翻弄され、一年が過ぎた頃、人事異動の辞令がありました。
なんと、翌年も営業職。
唖然としました。
制作に携わるために入社したのに、制作ができない絶望感でいっぱいでした。
明らかに友達に遅れをとってしまった焦りと絶望感で、出版会社を退社することに決めたのです。
仕切り直しで、デザイナーになることを決め、就職活動に専念しました。
ただ、世の中はそんなに甘くはありませんでした。
一年でギブアップした人間でスキルなどあるはずもなく、ことごとく不採用通知が届きました。
このままでは時間だけが過ぎていくと焦る日々が続きました。
何か手を打たなければと、作品作りをすることを決めました。
自宅ではできないので専門学校へ通い、制作することに。
バイトもその間やりました。できるだけ就職に近いバイトをしようと応募しました。
そして1年後ようやく
アシスタントとして転職に成功したのです。
晴れ晴れとした気持ちで初出社したことを今でも覚えています。
そして、企画部に入社した私が感じたことは、営業という職種はなんて厳しかったんだろう!
営業ができたらどの職種もこなせるのでなないのか。と実感しました。
営業では毎日誰かが怒られていて、ピリピリとした空気の仕事場でした。
企画部に来て、なんてゆるい空気がながれているんだろう。と。
こんなにもゆるい中で仕事をして給料をもらってよいのかとさえ思ってしまいた。
ただその思いも間違いだと一週間もしたら思い知らされるのです。
仕事はどの職種も厳しいのだと。
営業職は営業職の厳しさがあり、企画部は企画の厳しさがあるのだと学びました。
世の中に認めてもらえるものを作ることの難しさや、プロとしての心構えなどなど、共通しているところもたくさんあるのですが、ポイントが全く違うのです。
それでも、営業での苦しさが役に立ちました。
悔しいことがあっても、営業の時に比べたら我慢ができると思えるのです。
私の武器の一つになると思いました。
回り道を随分しましたが、長い道の中でみると貴重な体験でした。
そして自分の判断の甘さや幼さを今つくづく感じます。
それでも、方向転換した自分もほめてやりたいと思っています。
ゆとり的感想
本当にやりたいことのステップとしてまずはこれをやらなければいけない!ということはよくあることですが、その終わりが見えない道をずっと突き進むのはなかなか精神的に辛いですよね。
最近では『修行』という考え方が変わってきているような話も聞きます。
例えば寿司職人さんの世界では『飯炊き3年、握り8年』と言われるように、1人前になるためには10年以上の修行が必要と言われていたりします。
しかしその常識に一石を投じるかのごとく、最近では最短2ヶ月で寿司職人に!みたいなプロ養成学校が出てきたりしています。
もちろん10年と2ヶ月では同じとは言い難いでしょうが、それなりに短縮できる部分もやはり教え方次第ではあるということではないでしょうか。
『現場で覚えて1人前になる』ということももちろん重要ですが、『専門学校などの学校からプロになる』というのもこれからのプロの育て方かもしれませんね。
僕個人的にはやっぱり遠回りするのはもったいないかなーって思います。
自分のなりたいものに自分なりの近道を見つけて突き進むことがこれからは重要になってくるかと思います。
投稿者さんの方向転換はナイス判断。
これからは辛くても続くと思います。
自分がやりたいことやってる人は強いですからね。