2年目になって異動した先輩の引き継ぎ客とも一通り挨拶し終わった頃、同期がまた一人辞めた。
理由は家業を継ぐためとのこと。
それが本当かどうかは知らないが、やめてしまった。
こんなに社会人ってあっさり辞めるもんなのか?
疑問で仕方なかった。
確かに辛いこともあるし嫌なこともあるけどそれを我慢するのが社会人じゃないのか?
この時まではまだそう思っていた。
後を追うようにもう一人、辞めた
ちょいちょいちょい待てやー!
あいつが辞めたんなら俺も、、みたいになっちゃってるぞ。
これで2年目にして同期は3人辞めた。
後日そいつと飲みに行って、そいつは本当の理由を教えてくれた。
とにかく毎日が辛い、辛い、辛い。
そいつはとにかく毎日が辛くて仕方なかったようだ。
全然売れなくて、売れていないから仕事もあまりなくてお店の役に立ちたいと思っても何もできない自分に悔しくてそれが辛かったそうだ。
そのお店はスタッフが全体的に若いので、新人にかまってあげられるほど他の先輩スタッフも余裕がないそうだ。
しかもその店舗は独自のルールがあり、フリーの店頭客をそいつが最初に接触しても後から先輩に取られてしまうそうだ。
僕のいる店舗はフリーの客は最初に接触したスタッフの客というルールは新人の僕でも適応されていたのでそこは平等だった。
っていうかそれじゃフリーを捕まえても売れないじゃん!そりゃ辛いわ!
自分を責める必要ないぞそれは!
と言おうと思ったけどもう退職しているので何も言わなかった。
同時に僕はやっぱり恵まれた環境だなあとしみじみ思った。
新人でも売れるチャンスはあるどころか250件の引き継ぎ客をもらっている。
この不平等こそが社会か。
しかし僕は優位な方の不平等にいたのであんまり不満はなかった。この時は。
でも辞めたやつ、いーなー。
内心ちょっとそう思った。
というのもやっぱり僕も正直辞めたいまでいかなくとも『この生活があと40年も続くのかー』とか思うようになってきた。
仕事内容もトラブルとかあると嫌になるが、それ以上に今一番嫌なのは労働時間の長さである。
なんせ営業は残業と言ってもみなし残業。
しかも夜は客に電話して点検の予約取りとかしなければいけないので店を出れるのは21時〜22時くらいが普通だ。
ちなみに朝は8時には出社している。
お昼だって食べたら終わり。
なので労働時間はざっと13時間前後といったところ。
なので1日がとてつもなく長いのだ。
こんなの世間では『まだいいほうだ!俺なんて会社に泊まっているぞ!』とか言われそうだが僕にとってはとてつもなく長かった。
辞めた同期はとりあえず自分探しの旅に出るとか言ってた。
ちょっとそれはそれで羨ましかった。
俺もできることなら働きたくねーなぁ。