保険会社の営業職から、商社の営業事務職への転職に成功した者です。
営業職からの転職を考えている方に少しでも参考になればと思い、以下に私の転職経験談を記載いたします。
目次
筆者プロフィールと転職時の状況
筆者は新卒で国内のとある損害保険会社に正社員として入社しました。新入社員研修後に地方の支店に配属され、代理店営業支援業務(要するに営業職)に従事していました。
転職を決意したのは筆者が26歳の時で、新卒で営業職として働き始めてから丸4年を迎えようとしているときでした。
営業職から転職を決意した理由
特に新卒で入った会社の場合、自分に営業担当としての適性があるかどうかなんて、やってみないと分からないのが普通だと思います。そして私はやってみた結果、「自分は営業職には合わない」と痛感することになったのです。
そう判断した主な理由は下記の3点です。もしこれを読んでいる方で「自分も同じことを考えたことがあるな」という方がいらっしゃれば、転職を本格的に考えてみるのも手だと思います。
①自分自身がニーズ喚起業務というものに魅力を感じられなかったこと
営業職というものは、そのほとんどに「顧客のニーズを喚起する」努力が求められるかと思います。私はそれがどうしても苦手でした。なぜなら、自分自身の購買行動の中に「誰かに勧められてその商品に魅力を感じたから購入する」というパターンが存在しなかったからです。
私はいつも物を買う時、「自分が必要だと思ったから」買うということしかしてきませんでした。買う前に誰かに相談すること自体滅多にしません。
そのため、特に欲しいと思っていないのに、商品を勧められて必要性を感じて買う、という行為をする消費者の気持ちが、どうしても理解できなかったのです。
そんな気持ちのまま営業職を続け、形だけのニーズ喚起をしても、気持ちのこもった営業ができる訳もなく、仕事を面白く感じられなかったのです。
②数字に対するプレッシャーが大きかったこと
当たり前ですが、営業職は成績を上げることが仕事です。ですがままならないのもまた事実です。保険に加入するかどうかの選択肢は常にお客様にしかない訳で、いくら努力をしてお願いしても、ダメな時はどうしてもダメなのです。
自分の力の及ばない余白部分が大きすぎる上、その状態で毎回上司から厳しく成績を追及されるので、ストレスは非常に大きかったです。
その状況に加え、社内で担当者毎に成績を壁面管理するなんてことになると、自分がいかに劣等生なのかを痛感して気は重くなるし、仮に成績が良かったとしても、常に追いかけっこをしているような切迫感を感じながら仕事をしなくてはいけません。その状況がメンタル的に耐えられませんでした。
③社内の業務効率化に貢献できた経験が嬉しかったこと
営業職以外の部分で、たまたま自分が考えた業務効率化のアイデアが採用され、社内で大きく取り上げられた経験がありました。その時に感じた嬉しさは、営業成績を達成できたものよりも大きかったのです。
私はもしかしたら、事務職などの裏方で、誰かの業務を支える方が性に合っているのかもしれない、ということに気付いたきっかけとなりました。
事務職に転職してよかったこと
現在筆者は、転職活動に成功し、商社の営業事務として勤務しています。
営業職とは全く違う大変さはありますが、それでもやはり、こちらの方が自分に合っていると思っています。
主な理由を下記に挙げてみます。
①営業職と違って「正解がある」こと
営業スタイルは担当者それぞれで、定型というものがありません。その人の性格が大きく影響しますので、何が正解なのかは結果論でしか判断できません。
しかし、事務職にはそのように抽象的な部分がありません。「与えられた仕事を、いつまでに、どれくらいのスピードで間違いなくこなせるか」が全てです。
業務の余白部分がなくなったことで、営業をしていた時に感じていた「これでいいのだろうか…」というような、そわそわとした不安感を感じることはなくなりました。
②営業職と違って「やれば終わる」こと
先述の通り、営業職が数字を達成できるかどうかの最後のカギは、営業社員ではなくお客様が握っています。お客様がうんと言わなければ、いくら努力しても成績は上がらないのです。
しかし事務職の仕事は「やれば終わる」ものばかりです。もちろん、業務量が多いと大変ですが、業務を達成できるかどうかのカギは自分の手にしかありませんので、頑張れば必ず報われるという嬉しさがあります。
③仲間の役に立てること
営業職は、その商品を販売することでお客様に喜んでもらうことが、仕事のやりがいに繋がることが多いと思います。もちろんそれだけではないでしょうが、お客様に喜んでもらった結果、同僚や上司に認めてもらえるといった側面が大きいのは事実です。
事務職はそれと異なり、業務効率化の工夫をしていくことで、直接同僚や上司の役に立てていると実感できます。
もちろん、お客様に喜んでもらうことが第一ですが、毎日職場で顔を合わせ、同じ目標に向かって努力している「仲間」、すなわち同僚や上司の役に立てていると感じられることは、やはり嬉しいものです。
おわりに
営業職は非常に難しい仕事だと思います。もちろん、簡単な仕事なんてこの世にありませんが、営業職ほど「適性」が問われる職種も珍しいのではないかなと思います。合っている人にはとことん合っているけど、そうでない人にとってはとことん合わない、それが営業職だと思います。
精神的に無理を重ねて努力をし、営業職という職種に何とか迎合しようとしている方も多いとは思いますが、無理をしすぎるのは禁物です。自分が楽しいと思えない仕事を無理して続けていても、いつか精神的にガタが来て、せっかく稼いだお給料が医療費に消えてしまうことだって十分あり得るのです。
少しでもその状況に当てはまる方は、もう「営業職には合う・合わないがあるから」と割り切ってしまって、思い切って別の職種にチャレンジしてみてください。
具体的にどんな仕事があるか分からないという場合は、今は転職サイトで気軽に様々な求人情報を検索することができますので、試しに覗いてみるのも手です。具体的にどんな仕事があるのか、イメージできるだけでも、モチベーションに違いが出ると思います。それがきっかけとなって、本当に自分に合った職種に巡り合えるかもしれません。ぜひ自分からそのチャンスを掴みに行ってください。