営業が離職を考えるとき
営業を辞めることを考える場合、思うように物が売れない以外にも往々にして様々な理由がある。
勤務時間が長い、成績のプレッシャー、外回りの過酷さ、責任の重さ、営業は管理職にでもならない限り営業のままである。
生涯、自分がセールスの仕事が務まるのか立ち止まって考えると不安になることがある。
実際、営業に疲れて業界を去る人も少なくない世界だが、営業を離れて畑違いの業種に転向することにためらうのもよくわかる。
かくいう私も商社での営業を二年勤めて、ITエンジニアに転向した経験があるからである。
しかし、結果として営業で得た経験は無駄にはならないし、私以外にも営業出身で活躍しているエンジニアは多くいた。
営業職はキャリアにならないか
本当のところ、何のスキルもない営業が他業種で活躍できるのだろうか。
例えば学校に通ったり資格を取得してから別の道を考えた方がいいのではないだろうか。
上記のような懸念はもっともである。確かに未経験の場合だと、資格はやる気のアピールとして説得力がある。
大企業の第二新卒の枠を狙う場合などは、そのくらい計画的な方が有効かもしれない。
異業種に行く場合は、志望動機で本気度を伝えるのは必達なので、資格はなくても勉強している姿勢くらいは見せるのがベターだ。
しかし、より肝心なのは入社後の立ち振る舞いである。
内定を得たとしても、その先で通用しなければ意味がない。しかも、IT業界も営業と同様に実力主義の世界である。
自分で成長できる人間でなければ昇給はほとんどないというのがスタンダードである。
結論から言えば、入社後に継続して勉強できる人間でなければ通用しない。
私の場合、IT業界に転職してからは、ワークライフバランスは営業に比べればマシになった。
繁忙期はあるが、内勤であるから過酷だと感じるようなことはなかった。
営業出身は修羅場をくぐってきている人が多いので、タフな人が多い。
また、コミュニケーションが得意なのでお客様の受けも良く、リーダーとして活躍する人も多い。
ITエンジニアの場合、リーダーとしてマネジメントに行くか、技術を伸ばしてスペシャリストになるのか大きく分けて二つの道がある。
営業しての強みを生かすならマネジメントの道である。数年後のリーダーを目指すのである。
会社の環境や運にも左右されるが、短期間で活躍している人も多い。
一方でスペシャリストの道はどうだろうか。技術を伸ばしていくと何ができるようになるのか。
例えばもう一度キャリアチェンジしてコンサルティングを目指すという道がある。
どういうシステムを導入しましょうとか、経営層に提案するのは営業のスキルだし、前提の技術力もエンジニアとして研鑽していれば強みになる。
スペシャリストからマネジメント経験を積むようになれば、市場価値の高い人材になる。
何を目指すのか常に考えながら仕事をする
技術力では敵わないこともあるかもしれないが、営業で得たバイタリティーやコミュニケーション能力は確実に武器になる。
履歴書を書くときに、タフであることやコミュニケーションが得意なことは強みとして目立つものではないかもしれない。
技術力のあるスキルの方が、キャリアとして評価しやすいのは確かに事実である。
だが、企業はストレス耐性に強い人を求めるし、逆に打たれ弱い人をリーダーにするのは難しい。
中途でスタートが遅れた分の努力は必要であるが、報われた時の可能性の幅も大きい。
むしろ、技術が足りないハンデを抱えてる分、どうすれば自分が役に立てるのか、自分のキャリアパスがどこなのか楽しみながら考えるべきだ。
それは気難しいお客様に物を売ったとき以上に充実感のある仕事だと思う。