私は新卒就活時に某大手商社子会社に入社し、そこでプリンターや紙製品の営業を務めました。
学生時代からそこまで社交的でなかった私は「本当に自分に営業が務まるのだろうか」と不安で仕方なかったのですが、人事の方から「君の誠実さは営業向きだ」と言われ、意を決して営業として会社に入社しました。そして3か月程度の先輩営業社員への同行の研修を行った後、営業として一人で客先を回るようになりました。
あれ?意外と悪くない?
実は最初は決して悪いものではありませんでした。
というのも、私に振り当てられた顧客は会社と比較的古い付き合いの小企業が多く、相手もそこまで威圧的な態度を取ったりプレッシャーをかけるようなタイプではなかったからです。また、初期はノルマも小さく設定されていて、定期的に勝手に注文が来る消耗品の売上でノルマの8割程度はカバーが出来ていたからです。
ですが、そこから私は営業の難しさを次第に知る事になり、「営業を辞めたい!」と思うようにまでなりました。
きっかけはノルマ
入社2年目から一気にノルマが上がり、飛び込み営業をして新規獲得をしなければいけなくなった事です。最初は既存顧客に新しいプリンターが欲しくないか聞いて回りましたが、どこも既にプリンターは持っているし余分にはいらないと言われてしまいました。また、その後始めた飛び込み営業でも、同様に「既にプリンターはあるからいらない」と言われたり、そもそも門前払いをされてしまったりという日々で、ノルマを達成出来ない月がだんだんと増えていってしまいました。
そしてノルマ未達成について上司から厳しく問われる度に「やはり内向的な自分は営業向きではない」と再度自覚するようになり、転職をして事務職になりたいと考えるようになりました。
最初は事務職の中でもどの仕事が良いか非常に悩み、総務や人事・更にはエンジニア系まで検討した事もありましたが、最終的には経理職を志望するようになりました。
理由としては、事務職の中でも特に専門的知識やスキルを身に付けて成長が出来る、いわば手に職を付ける事が出来る仕事であるからです。当然なるべく転職は繰り返したくないとは思っていましたが、もし次の転職先で何かがあっても、手に職をつけていれば転職に困らないかもしれないと思ったのです。
もちろん営業と経理は仕事内容が全然違いますし、求められる知識も異なりますのでそれなりの努力はしました。
私は大学時代に商学等を学んでいなかったので、まずは独学で簿記を勉強し、2か月の猛勉強を経て日商簿記3級の満点合格に成功させました。そして、その実績をアピールしつつ、更に日商簿記2級の合格も目指している意欲もアピールする事で、営業から経理へのキャリアチェンジに成功しました。
経理になってよかったこと
経理になって良かったと思うのは、体ではなく頭を使って働く事が出来る点です。
営業だと社外にいる事が多く、特に真夏の移動は体力的にも大変です。また、私の場合は重いプリンターを持ち運ぶ事もあったので、なおさら「営業は体力も必要だ」というイメージが強かったです。一方経理職は、基本的にオフィスにずっといて、朝から晩まで会計ソフトとにらめっこするような仕事です。そういった状況なので体の疲れはあまり感じる事はなく、仕事後は頭が疲れている事が多いです。ただ、疲れ以上に「今日も新しい事を覚えて成長した」と実感出来る事も多いので、やはりやりがいは大きく感じています。
今までを振り返ると、改めて自分は経理になって正解であったと感じています。自分が営業向きではないという学生時代の直感は間違っていなかったですし、逆に今は自分に適した仕事をやれているという充実感があります。
もちろん人によっては「経理より営業が向いている」という人もいると思います。ずっとオフィスにいる事につまらなさを感じたり、自分の手で売上を作り出したいという方は営業向きだと思います。大事なのは「自分に向いている仕事をする」事であり、もし必要であればそのために転職をするのは良いと思います。