私が営業をしていた業界は、注文住宅の営業でした。
初めの頃は先輩たちと和気あいあいとやってたり、親切に教えてくれたりもしました。
また研修も丁寧にあり静岡の本社まで、新幹線で向かいそこからタクシーで行き本当に凄い本社の研修でびっくりするほどの優しさでした。
約三か月は皆さん優しかったんです。
四か月目からそれは始まりました。所謂パワハラっていうやつです。
その前の業界でもパワハラで辞めていたので、またかと言う感じでした。
しかしその度合いが半端じゃない。
私は「モグラ」と言う名前を付けられました。理由は暗いからという事でした。
私はパワハラに耐えられずに鬱にかかっていたので、暗いことは暗いのですが、モグラと言うあだ名で呼ばれるほどの暗さは無かったと思います。
小学校の時は体を鍛えて空手を習い何とか不良グループに立ち向かったのですが、今度は社会人です。
立ち向かおうものなら、即解雇です。
私にはまだ乳飲み子も居ましたし、反抗することはできませんでした。
直属の上司に何度も腹を殴られたりもしました。
また営業の成績も取られたりしました。
横から入ってきて自分のものにしてしまう上司がいたんです。もうそうなっては営業の成績は残すことはできません。
私は営業に行ってる間に、暇を見つけてはコラムを書いて地元のFMラジオでコラムを発表する機会が与えられました。
昔少しアナウンサーに憧れてアナウンサーの学校に行ってる時に出会った師匠から、コラム書いてるなら僕のやってるFMのコーナーで君のコーナーを作るからコラムを読み上げていったらどう?と言う誘いがあったのです。
私は嬉しかった。自分の書いた文章が認められるという事にすごく興奮しました。少し恥ずかしかったけど、本当にあの時期は興奮しました。
その時期は夜はコラムを書いてFMで発表する。そして朝から午後7時まではモグラと呼ばれ辱めを受ける。酷く鬱屈した精神状態の中、何とか営業マンを続けていました。
そして肩たたきに遭ったのです。もうそろそろ売れないんだったら、他の業種に行ったらどうだみたいなことを、信頼してる先輩から言われました。
私は、その先輩の家に何度も遊びに行き、本当に家族ぐるみで仲良くしてたので非常に驚き、また悲しい思いをしました。
そんな時期にある情報と言うか、前の会社を辞めてライターになった同期の人から電話があったのです。
そうして転機はやって来ました。私は前の会社で文章が一番上手いと言われてました。その関係でライターをやってみないかと言う誘いがあったのです。
ライターの仕事は大変なことは大変ですが、自分にもできるかどうかチャレンジしてみたいと思いました。
そしてライターになる前に一本の小説を書きました。
酷く稚拙で文章も滅茶苦茶で、今見たら笑っちゃうような小説です。
しかしその小説は後に面白いことになっていくのです。
私は今はタイプを選ばないライターをやっていますが、小説は今でもたまに書いています。
そしてライターをやりだして十年の月日が経ちました。
苛めなど皆無で非常に楽しい仕事です。
毎日起きるのが楽しく、起きるとテンションを上げていくために、音楽を聴きながらその日のニュースなどをWEBでチェックし、その日のコラムの内容などを考えながら、朝礼までの時間をワクワクと過ごせるようになりました。
ブラック企業にいた私だから分かるのですが、ブラック企業なんて居る必要はないです。
自分がこうだと思った道を歩きましょう。
そうすれば心も穏やかですし、何よりも楽しい人生が待ってます。
皆さんも頑張ってください。
なお十年前に書いた小説は物凄い有名な賞で、ファイナリストまで残りました。
現在改稿中です。もっと大きな賞に今度は出してみるつもりです。
楽しい人生になって本当に良かったです。営業マンは私には向いていなかったようです。
今では苦しかった思い出しか残ってません。夢でもたまにトラウマのように出てきます。
辞めてよかったと本当に思います。